平成28年度入学式式辞

“青森県立保健大学の挑戦”

 

青森の厳しい冬のあとの春を待つ気持ちさながら、ここに皆さんをお迎えすることを心待ちにしていました。学部新入生の皆さん、そして大学院新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。本日、健康科学部新入生232名及び編入生7名の計239名、並びに大学院健康科学研究科博士前期課程生7名、博士後期課程生6名、計13名の新入生の皆さんを本学に迎えることになりました。青森県立保健大学を代表して、新入生の皆様、ならびにご家族の皆様に、お祝いを申し上げるとともに、在学生、教職員一同、心から歓迎いたします。

 

さて、皆さんは、 ”梅一輪、一輪ほどの暖かさ”という俳句を聞いたことがあるでしょうか。これは松尾芭蕉の弟子の服部嵐雪(はっとりらんせつ)の句ですが、梅がようやく一輪だけほころびるくらいの、ほのかな暖かさだよ、といった早春を詠った句です。また、この句は、可憐に見える梅の花が厳しい寒さの中にあっても、凛として最初のひとひらをほころばせる、そうした力強さも詠っています。そしてわずか一輪であっても花をほころびさせることで、見ている者を暖かくします。青森では梅の開花はあと少し先になります。皆さんは、まだ春浅いこの青森で、新たなスタートをきることになりました。わずかな暖かさのなかにあっても凜として、最初のひとひらをさかせる、そんな皆さんを思い描いています。

 

さて、青森県立保健大学は、ヒューマンケアを実践できる人間性豊かな人材を育成することを大学の目標にかかげています。みなさんには、いつでもどこにいても、ヒューマンケアを実践できる人であってほしいと願っています。あなた自身の視野を広げ、人への関心を高め、考え、そして人を思いやり、人に寄り添うこと、それが、本学がめざす真のヒューマンケアです。本学では昨年、ヒューマンケアを実践できる人材を育成することの取り組みの一つとして、人々の“ヘルスリテラシー:Health Literacy”の向上をサポートできる人材の育成を目標にかかげ、“ヘルスリテラシー向上宣言”をしました。ヘルスリテラシーの向上とは、人の“いのち”と“くらし”に関する情報を“探して”、その意味を“わかって”、“使える”ようになることです。みなさん自身がヘルスリテラシーを身につけ、そして、人々のヘルスリテラシー向上をサポートする役割を担っていってほしいと思っています。皆さんが身につけたヘルスリテラシーは、いつでもどこにいても、人をケアする専門職(Helping Profession)にとってその中核となるだいじな知識であり、能力です。保健大学は全学をあげて、ヘルスリテラシー向上に挑戦しています。

 

また、このところよく地方の時代ということを耳にします。“地域にねざした”といったこともよく聞きます。人々の“いのち”と“くらし”を護る保健医療福祉の専門職を育成する大学にあっては、人々が住まう場をしっかりと理解することが必要です。しかし地方とはいったいなんでしょうか。地域とはいったい何でしょうか。何がわかれば地方がわかるのでしょうか。保健大学のもう一つの挑戦は、地方のこと、地域のことをきちんとわかる人材を育成することです。

 

保健大学の二つの挑戦に、ぜひみなさんの力を貸してください。凛とした皆さんのみなぎる力に大いに期待して、歓迎のあいさつとかえさせていただきます。

 

ご入学おめでとうございます。

 

平成28年4月4日

 

公立大学法人 青森県立保健大学
理事長・学長  上泉 和子

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