AJHW抄録(日本語版)

https://doi.org/10.24552/00002153  ©青森県立保健大学



東北地方における公的病院再編統合の地域差の要因
―「424リスト」を用いた県間と構想区域の統計的比較検証―

瀧澤 透,種市寛子,葛西孝幸

青森県立保健大学健康科学部

 

抄 録

 

〔目的〕 公立・公的医療機関のうち,東北6県の再検証要請対象医療機関の割合は,宮城県が40病院中19病院(47.5%)と高く,秋田県では23病院中5病院(21.7%)と低かった。本研究は,東北6県の再検証要請対象医療機関の割合の違いについて,その背景要因を明らかにすることを目的とする。

 

〔方法〕 厚生労働省が2019年9月に公表した「第二十四回地域医療構想に関するワーキンググループ参考資料1-2」を資料に用いた。そのPDF データをエクセルに変換し,残差分析など統計的分析を行った。

 

〔結果〕 秋田県の回復期病床数の割合が12.1%と有意に高かった(p<0.05)。また,「救急医療」で診療実績が特に少ないとされた病院数(率)は,宮城県が40病院中23病院(57.5%)と有意に高く(p<0.01),秋田県が23病院中4病院(17.4%)と有意に低かった(p<0.05)。さらに構想区域を比較すると再検証要請対象医療機関は病院密度と関連があった。

 

〔結論〕 JA 秋田厚生連の系列9病院は,秋田県の公立・公的医療の半分を担っており,病床の機能転換や救急医療に積極的であった。一方で宮城県では,近年にあった市町村合併に伴う,旧市町村立病院の再編統合が求められていた。再検証要請対象医療機関の背景や課題を理解した上で,地域の実情に応じた医療機関の分担・連携,集約となるよう,議論が必要であることが示唆された。

 

《 キーワード》 地域医療構想, 県間比較, 2025年問題

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