AJHW抄録(日本語)

https://doi.org/10.24552/00002174 ©青森県立保健大学

精神障害者スポーツに参加している精神障害者及び指導者の活動満足度とその影響要因に関する研究

舘山 翔1),石田賢哉2)
1 )青森県立保健大学健康科学部社会福祉学科, 2 )山口県立大学社会福祉学部

 

抄 録

〔目的〕 本研究はアンケート調査を行い,精神障害者スポーツの参加者から見る満足度の影響要因について
検討するとともに,精神障害者スポーツが参加者に対して果たしている役割を検証することを目的としてい
る。さらに参加者の役割や,参加者の持つ精神障害者スポーツへのイメージとの関連に焦点を当て,検証す
る。

 

〔方法〕本調査の対象は東北圏域で精神障害者スポーツ(ソフトバレーボール競技)を行なっているチーム
の指導者と選手である。本調査はオンラインアンケートや郵送を利用して実施された横断的調査であった。
回答数は合計で75名での回答が得られた。すべての調査票をチェックし有効であった調査票を分析対象と
した(75名中73名が有効回答)。活動満足度スコアは,「所属しているチームの活動」,「運営の在り方」,

「参加者間の関係」の 3 つの因子から構成されていた。単回帰分析で有意であった 2 項目を独立変数,満足度ス
コアそれぞれを従属変数として,強制投入法による重回帰分析を行った。

 

〔結果〕 「勝利」のイメージを持っている参加者は「参加者間の関係」について低い満足度を示した。また,
指導者は選手に比べ「運営の在り方」について低い満足度を示した。

 

〔結論〕 勝利にこだわることが精神障害者スポーツの満足度の低さにつながっていると考えられる。競技性
を組み込むことで参加者が「もっと上手くなりたい気持ち」などの向上心が高まることで,現状に不満を感
じていると推測される。そしてこのように向上心を持ち,現状に満足していないということに競技性のス
ポーツの意義があると考えられる。

 

《キーワード》活動満足度,精神障害者スポーツ,競技性