AJHW抄録(日本語)

https://doi.org/10.24552/00002195 ©青森県立保健大学

「週末の寝だめ」によって引き起こされる社会的時差ぼけと 
 睡眠負債,自覚症状と生活習慣との関連

古川照美1),岩渕光子2)
1 )青森県立保健大学, 2 )岩手医科大学

 

抄 録

〔目的〕 近年,放課後の時間をテレビ,ゲームなどに費やした結果として,身体的な問題を訴える子供たち
が増えている。しかし,放課後の過ごし方や睡眠習慣,身体的症状について明らかになっているとは言
い難い。本研究では中学生の睡眠状態と自覚症状との関連を検討することにより,良好な睡眠習慣と心
身の健康の維持,向上のための健康教育対策に示唆を得ることを目的とした。

 

〔方法〕 調査は,中学生本人が必要に応じて保護者に協力を求めながら記入する自記式質問紙で行った。本
研究への参加に同意し,欠損値のない1,013人を最終的な解析対象とした。中学生の放課後から翌日まで
の過ごし方,睡眠負債,社会的時差ぼけ(SJL),自覚症状との関係を分析した。

 

〔結果〕 放課後の過ごし方は男子と女子で差があり,男子はゲームに,女子は宿題に多くの時間を費やして
いた。多くの女子が睡眠負債と SJL を持っていた。自覚症状は,男子と女子の両方で睡眠負債と関連し
ていた。ゲームと宿題は,男子と女子の両方で SJL に影響を与えていた。睡眠負債は,放課後から翌日
までの過ごし方の時間を調整した後でも自覚症状と関連していた。

 

〔結論〕 放課後から翌日の過ごし方の違いと,睡眠習慣との関連が示唆された。また,睡眠と自覚症状との
関連も示唆された。したがって,中学生に対する健康教育として,睡眠習慣を含む,放課後から翌日ま
での過ごし方が自覚症状と関連していることを伝える必要がある。

 

《キーワード》睡眠負債,社会的時差ぼけ,自覚症状,ゲーム,宿題