AJHW抄録(日本語)

https://doi.org/10.24552/00002200 ©青森県立保健大学

大学 1 ・ 4 年生による模擬討論の論点から見た議論の発展性の比較
(ディプロマポリシー;「自らを高める力」の育成評価報告Ⅰ)

浅田 豊,川内規会,李 相潤,小笠原メリッサ,山田真司,廣森直子,角濱春美
青森県立保健大学

 

抄 録

〔目的〕 模擬討論における討論内容やグループメンバーとの相互作用や学年間の習熟度の差を検討し,討論テーマに道筋を示すガイドを行うことがグループ討議にどのような影響を及ぼすかを検討する。

 

〔方法〕「監視カメラの設置について」の主題のもと大学 1 年生と 4 年生に議論の道筋やポイントを示すガイドあり,ガイドなしの 4 群に分け,同じテーマで討議を行わせた。録音データのテープ起こしをし,意味内容のある発話のみを対象データとし,論点の捉え方や発展性などを分析した。

 

〔結果〕 「監視する側からの監視のメリット」「監視カメラのデメリットを少なくする方策」「グローバルな視点での他国との比較」を含む10件の論点に関し, 1 年生と 4 年生,ガイドあり群とガイドなし群で討論内容と発展性に違いが現れた。 1 年生ガイドなし群では周りの影響を受けやすく議論を深めることは不十分で,1 年生ガイドあり群でも専門的な観点から議論を深めることが不十分であった。 4 年生ガイドなし群では繰り返し多角的に議論を進めており,自分たちで問題提起をした内容に対し討論や提案ができ, 4 年生ガイドあり群は論文を活用するなど専門的立場からお互いの意見を補い合って議論ができており,具体的な対象を広げつつ事象を抽象化した討論が見られた。

 

〔結論〕 自らを高める力の習熟度として 1 年生より 4 年生に向上が見られたため,議論のガイド・サポートの与え方を工夫することで,カリキュラムを保持発展させることが望まれる。

 

《キーワード》自らを高める力,教育評価,模擬討論