AJHW抄録(日本語)

https://doi.org/10.24552/00002201 ©青森県立保健大学

模擬議論の役割分析による大学 1 年生と 4 年生の比較
(ディプロマポリシー「自らを高める力」の育成評価報告Ⅱ)


角濱春美,李 相潤,小笠原メリッサ,山田真司,廣森直子,浅田 豊,川内規会
青森県立保健大学

 

抄 録

〔目的〕模擬討論でのグループワークにおける役割分析を行い,ディプロマポリシーである自らを高める力
の習得度,今後の教育への示唆について考察することである。

 

〔方法〕本大学 1 年生と 4 年生のうち,各学科 1 名ずつランダムに選出し,議論の道筋を示すガイドあり,
ガイドなしの合計 4 群を作成した。「監視カメラの設置をどう考えるか」をテーマに45分間議論を行わせた。
録音した音声データを話者ごとに書き起こし,役割分析ツールを用いて発言ごとに役割分類を行った。

 

〔結果〕1 年生に比べ 4 年生が,ガイドなしに比べガイドありのほうが,発言数が多かった。タスク遂行役
割においては,情報をもとに意見を出し合いながら進めるグループがある一方で,情報提供が少ない群,相
手の意見に対する肯定/否定が少ない群,感想が主体で意見が少ない群が見られた。 4 年生のグループ調整
役割は 1 年生の約 2 倍で,議論の最初から最後まで継続して認められた。個人主義的役割はほぼみられな
かった。
 

〔結論〕
4 年生はグループ調整役割を身につけ議論を維持する能力が身についていることが示唆された。タ
スク遂行の役割バランスをとる方策について意識的に教育する必要があると考えられた。

 

《キーワード》模擬議論,グループ役割,会話分析,ディプロマポリシー評価