AJHW抄録(日本語)

https://doi.org/10.24552/00002202 ©青森県立保健大学

グループ討論における「議論の構造」の共起ネットワークによる分析の試み
(ディプロマポリシー;「自らを高める力」の育成評価報告Ⅲ)

廣森直子,山田真司,浅田 豊,川内規会,李 相潤,小笠原メリッサ,角濱春美

青森県立保健大学

 

抄 録

〔目的〕グループ討論が議論として成り立っているかどうかを定性的に把握するために共起ネットワーク分
析を用いて「議論の構造」を抽出し検討する。

 

〔方法〕本学 1 年生と 4 年生から学生をランダムに選出し,議論のガイドあり,ガイドなしの 4 群を作成し,
「監視カメラの設置」をテーマに45分間議論を行わせた。録音した音声データの逐語録から 4 つの共起ネッ
トワークを作成し, 4 群を比較しながら「議論の構造」を検討した。

 

〔結果〕4 群の「議論の構造」を比較するため,ベースとなる共起ネットワーク構造,発言の役割をタグ付
けした共起ネットワーク構造,話者をタグ付けした共起ネットワーク構造,議論のどの段階で関連が生まれ
たかが示された共起ネットワーク構造を作成した。

 

〔結論〕被験者の行っていた議論が議論たり得たかを共起ネットワークによる構造に基いて解釈した。 1 年
ガイドなし群ではそれぞれの話者が自分の意見や考えの表明に終わっており,議論に至ってはいないと解釈
できた。簡単な短いガイダンスを行った 1 年生ガイド群でも議論の萌芽が垣間見える程度であった。これに
対して, 4 年生ガイドなし群でも話者全員が反応している発語が豊富であり,議論が行われているものと解
釈できた。 4 年ガイドあり群では,話者全員が反応している発語が豊富であり,議論が行われているものと
解釈できた。こうしたことから,議論のガイドが示されていることによる効果, 4 年次までの学修の効果が,
「議論の構造」として現れたと解釈できたといえよう。

 

《キーワード》グループ討論,議論の構造,共起ネットワーク