AJHW抄録(日本語)

 https://doi.org/10.24552/00002211 ©青森県立保健大学


幼児のクロノタイプと親の睡眠習慣,睡眠配慮行動との関連

岩渕光子1),古川照美2)
1)岩手医科大学看護学部    2)青森県立保健大学大学院健康科学研究科
 

 

抄 録

〔目的〕クロノタイプは,概日リズムの位相の個人差を表している。これまで幼児のクロノタイプと幼児の
健康や行動に関連する研究は報告されているが,親の睡眠習慣との関連についてはよくわかっていない。
本研究では,幼児のクロノタイプと親の睡眠習慣の関連について調査することを目的とした。

 

〔方法〕2020年10月~11月にかけて,岩手県の幼児とその親の睡眠習慣と睡眠に配慮した行動に関する調査
を実施した。3~5歳児の親を対象に,子どもの朝型―夜型質問票日本語版(CCTQ)を用い朝型,中間型,

夜型のクロノタイプを調べた。睡眠の質評価票を用いて,親の睡眠状態を評価した。3つのクロノタイプ間で,

親の睡眠習慣,睡眠に配慮した行動を比較した。

 

〔結果〕未就学児の朝型,中間型,夜型はそれぞれ24.8%,58.6%,16.6%を占めた。親の平日就床時刻,
平日入眠時刻,平日睡眠中央時刻,週末起床時刻,週末中央睡眠時間は未就学児のクロノタイプと関連
がみられた。夜型児の親の睡眠相は後退していた。また,物事をやり遂げるために必要な意欲を維持す
るのが困難であった。さらに,未就学児の良い睡眠を確保するための,朝はカーテンを開ける,寝室に
はテレビを置かない,夜寝る前は興奮させない,外出時は帰宅時刻を決めていることなどの睡眠習慣の
実践が不十分であった。

 

〔結論〕専門家は幼児のクロノタイプと親のライフスタイルを考慮しながら,親子で最適な睡眠を確保し,
睡眠問題の軽減のための保健指導をすることが必要である。

 

《キーワード》クロノタイプ,幼児,親子関係,親の睡眠習慣,睡眠配慮行動