AJHW抄録(日本語)

https://doi.org/10.24552/00002213 ©青森県立保健大学

食事からの「減ナトリウム・増カリウム」を目指した保健指導及び食環境整備と減塩食品の使用状況の変化~青森県東通村における取組~


小山達也1),川畑輝子2),青野昌代3),三國正人3),川原田恒4),道林千賀子5),中村正和2),吉池信男1)

1)青森県立保健大学  2)地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター
3)青森県東通村健康福祉課  4)東通地域医療センター  5)岐阜医療科学大学
 

抄 録

〔目的〕
青森県東通村では,食事からの減ナトリウム・増カリウムを目指し,住民健康診査(以下,健診)
の場を活用した保健指導及び食環境整備事業を2021年度途中より開始した。これらの事業を評価するため,
健診受診者を対象に減塩調味料・食品の認知度と使用頻度,購入状況の変化を調査した。

 

〔方法〕2021年度及び2022年度の村の健診受診者を対象に,減塩調味料の認知度・使用頻度,減塩食品の購
入状況について無記名自記式調査を行った。健診は各年度の6 , 9 ,10, 1 月に村内の地域を固定して行わ
れ,住民の多くは毎年同じ場所及び月に受診している。減Na・増K を目指した保健指導は,2021年9 月か
ら開始した。保健指導は,スポット尿によるナトカリ比の測定とフィードバック,減塩商品の説明とインセ
ンティブとしての提供を,管理栄養士等が健診当日に行った。また,住民が最も多く利用するスーパーマー
ケットの協力を得て,2021年11月から減塩食品の陳列棚へのポップ掲示や買い物バスでの情報提供を行い,
減塩レシピを店舗や村のHP に掲載する等,食環境整備を進めた。2021年健診において,上記の保健指導を
行っていない6 月の受診者を「比較対照群」,保健指導を開始した9 月以降の受診者を「介入群」とし,2021
年度と2022年度の各群における変化を比較した。

 

〔結果〕減塩調味料の認知度や使用頻度は,保健指導の有無に関わらず変化はなかった。一方,介入群では,
減塩のめんつゆを購入したことがある者の割合が高くなった。
 

〔結論〕食環境整備に加えて減塩食品の活用等に関する保健指導を行った場合,減塩食品を実際に購入する
割合が高まる可能性が示唆された。
 

《キーワード》ナトリウム,カリウム,保健指導,食環境整備,住民健康診査