大学院生海外研究活動助成について

大学院生海外研究活動助成金

ヘルスプロモーション戦略研究センターでは、公立大学法人青森県立保健大学国際交流ポリシーに基づく「国を超えたヒューマンケアを実践できる人材の育成」に資する教育支援として、本学に在学中又は修了後1年以内の大学院生(研究生、科目等履修生及び特別聴講生を除く)を対象とし、本学の教員が教育的視点から指導、監修する海外で実施した活動に活動費用を助成しています。

 

参考:国際交流ポリシー

 

令和7年度

申請者(研究室名・職・氏名)

生体機能学研究室 教授 李 相潤 

活動実施者(所属課程・学年・学籍番号・氏名)

博士後期課程 1年 2591010 杉本 一生

目的

IDF World Diabetes Congress 2025 国際学会発表

実施地(国名・地域名)

Bangkok International Trade and Exhibition Center (タイ・バンコク)

実施期間

2025年4月7日~10日

実施内容及び成果

2025年4月に開催された世界糖尿病学会(IDF 2025)に参加してきました。IDFは「International Diabetes Federation(国際糖尿病連合)」の略で、世界中の糖尿病専門家や医療従事者、研究者が集まり、糖尿病の最新研究や治療法について発表・議論する国際学会です。私は理学療法士として、実験用ラットの筋肉に高濃度酸素と有酸素運動がどのようなシナジー効果を及ぼすかを発表し、かつ糖尿病に関連する運動療法や生活習慣の改善方法に関する最新の情報を学ぶために参加しました。
今回の学会では、「より簡便な糖尿病の最新の自己管理方法」が大きなテーマでした。お薬での治療以外で、食事や運動、睡眠、ストレス管理といった日常生活の質を整えることが重要であると多くの発表で示されておりました。最近では「運動は薬である(Exercise is Medicine)」という言葉が世界的に広がっています。軽いウォーキングやストレッチでも、継続することで血糖値の改善や心臓・血管の健康維持につながることが多くの研究で示されていました。
また、センサーやスマートウォッチなどのデジタル技術を使って、血糖変動や活動量をリアルタイムに把握する取り組みも紹介されました。これにより、患者さん自身が自分の体の変化を見える化し、より主体的に健康管理ができる時代が近づいていると感じました。
学会を通じて改めて実感したのは、お薬以外での糖尿病の治療方法の発展が期待されることです。栄養、ストレス、環境といった様々な因子と運動とのシナジー効果が多く報告されていましたが、実用には更なる研究が必要な状況です。私は糖尿病治療法の今後の発展に向けて、新たな運動方法を構築すべく、今後の研究に励みます。

活動の様子

 

 

 

申請者(研究室名・職・氏名)

スポーツリハビリテーション学研究室 教授 篠原 博

活動実施者(所属課程・学年・学籍番号・氏名)

博士前期課程 2年 2481004 高橋 咲樹

目的

学会参加・発表

実施地(国名・地域名)

韓国 済州市

実施期間

2025年10月25日~27日

実施内容及び成果

2025年10月25日から27日にかけて、韓国、済州市で開催された2025 World Congress on Kinesiology & Sport Science(2025 WCKSS)に参加し、「Approach to FMS Assessment in High School Female Basketball Players:For Regular Assessment」(高校生女子バスケットボール部選手におけるFMS測定:定期的な測定に向けて)の題目でポスター発表を行った。本研究は、高校生に対する身体機能のスクリーニング指標として、Functional Movement Screen(FMS)を導入するための取り組みである。測定手順や評価方法などを工夫することによって、練習時間の限られている高校生選手へ導入するための工夫を行った。今後、本研究の方法を使用し、継続してFMSを用いたスクリーニングを行うことによって選手の身体状況を経時的に評価することが可能となり、障害予防につながると考える。発表では、導入前後での測定時間の比較を示し、90分程度要していた測定を30分以内まで短縮でき、今後のFMS測定の実施がより容易で実用的なものとなることを報告した。
ポスター発表時間では他研究者より、短時間で行うための具体的な工夫点や、導入時の選手の反応などの質問があった。また、評価方法やフィードバック方法などについても意見交換を交わした。これらの自身の研究に対する意見交流を通して、測定時間を短縮するための工夫点を導入したFMSを今後運用していくうえで、測定時間の短縮だけでなく、評価自体の信頼性を保つための測定環境や測定者間での評価基準の統一などの注意点を確実に整備する必要があることを再認識した。
また、他研究者との情報交換を通じて、筋電図やマーカレスモーションキャプチャなど、多様な研究手法や観点に触れるきっかけとなった。

活動の様子

 

 

申請者(研究室名・職・氏名)

生体機能学研究室 教授 李 相潤

活動実施者(所属課程・学年・学籍番号・氏名)

博士前期課程 2年 2381006 斎藤 拓弥

目的

糖尿病の最新の知見に関する調査及びポスター発表

実施地(国名・地域名)

タイ, バンコク

実施期間

2025年4月7日~ 10日

実施内容及び成果

私は国際糖尿病学会に参加し、糖尿病の最新の知見に関する調査や自身の研究についてポスター発表を行った。
ポスター発表:私は、高濃度酸素暴露と有酸素運動が糖尿病ラットの臓器の重量に与える影響について発表した。糖尿病ラットの作成に関する質疑はあったが、高濃度酸素暴露と有酸素運動の併用による副作用についての懸念、本研究の実験方法に関する意見は聞かれなかった。引き続き、高濃度酸素暴露と有酸素運動を併用した糖尿病の治療の発展に寄与する研究活動を行っていく。
口述発表の聴講では、諸外国での糖尿病患者のケアの体制や糖尿病の研究の動向に関して調査することができた。本学会では、カリフォルニアにおける全国糖尿病予防プログラム(DPP)の取り組みについて聴講する機会があった。米国糖尿病協会はDPPの一環として、2型糖尿病の予防活動を行うライフスタイルコーチの育成に取り組んでいる。プログラムの内容は運動や食習慣、ストレスの対策などの基本的な内容だが、注目すべき点は医療従事者や保健従事者がライフスタイルコーチになれる資格があることだ。つまり、DPPは糖尿病のケアを行うことができる人材育成に貢献している。わが国では、糖尿病患者のケアを専門とする「糖尿病療養指導士」といった民間の資格があり、これをライフスタイルコーチに類似した立ち位置で運用することが、糖尿病の予防活動に繋がる可能性が考えられた。

活動の様子

 

 

申請者(研究室名・職・氏名)

認知運動神経科学研究室 准教授 渡邊 龍憲

活動実施者(所属課程・学年・学籍番号・氏名)

博士前期課程 2年 2481005 田中 優生

目的

2025 WORLD CONGRESS ON KINESIOLOGY & SPORT SCIENCE

実施地(国名・地域名)

Korea, Jeju

実施期間

2025年10月25日~27日

実施内容及び成果

2025WCKSSにおいて、「The Effect of Transcranial Static Magnetic Stimulation on High-Frequency Oscillations in the Somatosensory Cortex」と題し、ポスター発表を行った。近年、ネオジム磁石を頭皮上に留置するだけで大脳皮質の活動を調節することができる経頭蓋静磁場刺激(Transcranial Static Magnetic Stimulation:tSMS)に注目が集まっている。tSMSは、反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation: rTMS)や経頭蓋直流刺激(transcranial direct current stimulation: tDCS)といった従来の刺激法と比較し安全性や操作性、価格において優れていることや様々な脳領域で抑制効果が認められていることから臨床応用に期待が寄せられている。会場では、他国の研究者や大学院生に対して tSMS の概要やこれまでに得られている知見を紹介する機会を得た。特に、tSMS が脳卒中やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症を含む有疾患者の機能回復を促進しうる可能性について多くの参加者が強い関心を示しており、患者ごとの病態や障害像に応じて刺激条件をどのように設定するか、既存のリハビリテーション手法とどのように併用すべきか等、具体的な臨床応用に関する質問や意見交換が相次いだ。さらに、スポーツ選手のパフォーマンス向上に寄与する可能性について多角的な観点から活発な議論が行われた。本学会への参加により、臨床応用に向けた課題が明確となった。加えて、tSMS に関する研究の方向性を再考し、さらなる発展の糸口を得る貴重な機会となった。

活動の様子

 

 

申請者(研究室名・職・氏名)

生体機能学研究室 教授 李 相潤

活動実施者(所属課程・学年・学籍番号・氏名)

博士前期課程 1年 2581005 木村 勇吾

目的

軽度認知機能障害(MCI)の最新の知見に関する調査及びポスター発表

実施地(国名・地域名)

台湾、高雄

実施期間

2025年10月17日~ 18日

実施内容及び成果

私はアジアフレイル・サルコペニア学会に参加し、MCIの最新の知見に関する調査や自身の研究についてポスター発表を行った。

 

MCIの最新の知見に関する調査:
本学会は、フレイル・サルコペニアが中心の学会ではあるが、関連する疾患として認知症の研究も多く発表されていた。MCIは認知症の前段階であり、認知症は健常な状態に戻ることは不可能だが、MCIは戻ることが可能である。そのやめ、予防的介入としてどのような研究が世界でなされているか調査した。認知症、MCIのスクリーニングとして使われるMMSEやMoCa-Jの信頼性など最新の知見を入手できることができ、今後の研究に用いていきたい。

 

ポスター発表:
私は、重心動揺がMCIと疑われる患者に対してどのように影響するのかをポスターにて発表した。MCIと健康調査票との相関を見た研究もあり、その発表者と意見交換をすることができた。MCIの判断基準として、私はMoCa-Jを用いているが、相手はMMSEを用いており、理由や影響している因子など貴重な知見を得ることができた。

活動の様子