AJHW抄録(日本語)

https://doi.org/10.24552/00002154 ©青森県立保健大学

身体運動時の下肢機能軸の変化に関する文献調査

羽場 俊広,岩月 宏泰

青森県立保健大学 健康科学部 理学療法学科

 

抄 録

 

〔目的〕 下肢機能軸(MA: Mechanical Axis)は膝関節の変形の指標として利用されている。本研究では身体運動時のMA についての文献調査を行うことで,MA の動作分析への利用に資する可能性を考察することとした。

 

〔方法〕 「下肢機能軸」,「Mechanical axis」を検索語とし,日本語および英語のデータベースにおいて1983年~2020年の期間で検索した。対象論文は身体運動時のMA またはMA が垂線と成す角度に関連する評価項目があるものとした。

 

〔結果〕 124編の文献が抽出され,著者らの採択基準を満たした10編を分析対象とした。身体運動の分類では片脚立位が2編と歩行が7編であり,MAが垂線と成す角度の報告は静止立位時の1 編であった。身体運動時のMA についてはすべての論文がMA の膝関節通過点についての報告であり,荷重や歩行様式の違いと関連する変化を認めていた。

 

〔結論〕 身体運動時のMAを報告している論文は少なかったが,膝関節の変形,片脚立位や歩行などの身体運動においてMA が変化することを考慮すると,身体運動時のMA が垂線と成す角度を生体力学的に分析することは動作分析を行う上で有用であると考えられた。

 

《 キーワード》 下肢機能軸, 生体力学的分析, 文献調査