AJHW抄録(日本語)

https://doi.org/10.24552/00002155 ©青森県立保健大学

江戸時代の史料からの栄養価の算出方法の検討

山岡 伸,小山 達也

青森県立保健大学健康科学部栄養学科

 

抄 録

 

〔目的〕 現在、食事調査は日々の食事の栄養価などの食事摂取状況を把握するために行われている。しかしながら、食事からの栄養価の算出は第二次世界大戦以降の人々の食事を対象としている場合が多く、それ以前の時代の人々の食事はほとんど対象にされていない。したがって、古文書などの史料から、昭和初期以前の食事の栄養価の算出を試みようとした研究はほとんどない。そこで、本研究では、江戸時代における弘前藩の史料である[年中行事御祝献立並三方等御飾]に記載されている食事の描写から栄養価の算出を試み、その結果から、江戸時代の史料が食事の栄養価の算出のための新たな既存資料として利用できるか栄養価の算出方法の検討を行った。

 

〔方法〕 [年中行事御祝献立並三方等御飾]から一部料理を抜粋し、日本食品標準成分表2015年版(7訂)を用いて、雑煮、田作り、数の子、うちまめの栄養価を算出した。

 

〔結果〕 [年中行事御祝献立並三方等御飾]から食事の栄養価を算出することができ、雑煮のエネルギーは446kcal、田作りは81kcal、数の子は49kcal、うちまめは46kcalと推定された。

 

〔結論〕 本研究で算出した各料理の栄養価は、現代の食事調査法の1つである写真法によって栄養価を算出された結果に相当すると考えられる。したがって、江戸時代などの史料からの食事の栄養価の算出は、現代の食事調査の知識を活かすことで可能となることが示唆された。

 

《 キーワード》 江戸時代、栄養価、写真法、弘前藩