AJHW抄録(日本語)

https://doi.org/10.24552/00002162 ©青森県立保健大学

外来がん薬物療法を受ける患者を支援するための外来チーム医療
―外来チーム医療の実際と課題―

本間ともみ,伝法谷明子,鳴井ひろみ

青森県立保健大学 健康科学部 看護学科

 

抄 録

 

〔目的〕 本研究は,外来がん薬物療法を受ける患者を支援するための外来チーム医療の実際と課題を明らか にすることを目的とした。

 

〔方法〕 がん診療連携拠点病院 5 施設の専門職者33名を対象に,半構成的面接調査を実施し,質的帰納的分 析を行った。

 

〔結果〕 外来チーム医療の実際として,病院内の限られた職種間でのみ連携している,地域医療との連携が 限られている,外来治療に移行後の患者の目標を多職種で共有していない,がん患者を支援するための専門 職者の意見に差がある,各職種の相互理解に基づく対等な関係性が築けてない,外来に必要な専門職者の人 員配置が不足している,という 6 つが明らかとなった。また,課題は,病院内での多職種による継続的な支 援の提供,地域医療との連携による支援の継続,患者と多職種との情報共有化の整備,患者の目標の多職種 による共有化の推進,各々の専門性を高め合う意識の向上,リーダーシップの役割発揮,外来における専門 職者の機能的な人員配置の 7 つであった。

 

〔結論〕 外来がん薬物療法を受ける患者を支援するための外来チーム医療を推進していくためには,病院内 から地域医療への多職種による継続的な支援の提供,患者との情報共有に基づく多職種での目標共有,専門 性を高め合いチームとして支援する意識の向上,患者支援に専従できる専門職者の人員配置について,効果 的なシステムを構築していく必要があることが示唆された。

 

《 キーワード》 外来がん薬物療法,がん患者,チーム医療