AJHW抄録(日本語)

https://doi.org/10.24552/00002163 ©青森県立保健大学

回復期病床を有する医療機関に勤務する医療ソーシャルワーカーの視点による, 青森県地域医療構想の課題と展望

瀧澤 透,葛西孝幸

青森県立保健大学健康科学部

 

抄 録

〔目的〕本研究は青森県の地域医療構想の認識状況や課題を明らかにすることを目的に,回復期病床を有する医療機関に勤務する医療ソーシャルワーカー(MSW)を対象に質問紙調査を行う。

 

〔方法〕 対象は青森県内の回復期病床(回復期リハビリテーション病棟,地域包括ケア病棟)を有する医療機関に勤務する MSW である。方法は Google フォームによる無記名の Web アンケートで,回答数は18人であった。

 

〔結果〕 「青森県は回復期病床を2025年において4,238床必要であると推計しています。この病床の機能転換についてあなたはどう思いますか?」の質問では,「増やすことは十分可能だ」が 1 人(5.6%),「回復期病床を増やすことは,やや困難がある」が12人(66.7%),「極めて難しいと思う」が 4 人(22.2%),「その他」 が 1 人(5.6%)と回答があった。「回復期病床を増やすことについて,どのような問題があると思いますか」 と複数回答で質問したところ,「地域や在宅の療養環境が整っていないことが問題である。」が15人(83.3%), 「退院先の確保が難しくなる。病院間で競争となる。」が11人(61.1%)と回答があった。

 

〔結論〕 MSW の約 9 割が回復期病床を増やすことを「困難(やや+極めて)」と答えていた。MSW は病院と地域の双方の視点をもつが,退院先や在宅医療など地域の環境を整えることなしには,構想を進められないと考えていた。

 

《キーワード》地域医療構想,2040年問題,新型コロナウイルス感染症