AJHW抄録(日本語)

https://doi.org/10.24552/00002164 ©青森県立保健大学

青森県「医療通訳養成研修」受講者の受講背景及び通訳技術と知識に関する考察

川内規会1),小笠原メリッサ2)
1 )青森県立保健大学健康科学部看護学科, 2 )青森県立保健大学健康科学部栄養学科

 

抄 録

 

〔目的〕青森県「医療通訳養成研修」受講者の受講背景と通訳技術や知識に対する意識の変化を明らかにし,
通訳養成の課題を示す。

 

〔方法〕2013年から2019年までの「医療通訳養成研修」受講者154名を対象とし,無記名自記式質問紙調査に
より,受講背景と通訳の『技術』『能力』『知識』の3 分野について,研修前と研修後の意識の変化を比較す
る。

 

〔結果〕受講背景として初期の通訳経験者は興味がある人と漠然と何か貢献したいと期待して受講した人で
占めていた。一方,通訳経験のある高齢の参加者は過去の通訳経験を活かしたいと考え受講している傾向が
あり,外国人患者と医療者のサポートに関われる貴重な人材と言える。『技術』や『能力』は,研修後に「な
い」と答える項目が多かったが,これはすぐに効果が表れる力ではないことと,必要な技術や力が具体的に
わかることで自己に厳しくなり低く評価したことが考えられる。『知識』では「倫理的問題」「外国人の医療
環境」「外国人の医療問題」の項目は,研修後に知識が「ある」に変わった。

 

〔結論〕初期の通訳者が医療分野を困難と感じる要因は,情報,知識,技術の不足が混在していることにあ
り,何が苦手で不足しているかを自身が把握できないことに問題がある。医療通訳者は技術的に自信をつけ
る必要があるため,研修機会を提供し,継続的に参加してもらうことは自身の課題を知る重要なステップに
なることが示唆された。

 

《キーワード》医療通訳養成研修,通訳技術,知識,受講者背景