AJHW抄録(日本語)

https://doi.org/10.24552/00002170 ©青森県立保健大学

レーザー距離計を用いた簡便な Functional reach test の開発

佐藤 衛1),川口 徹2)

1 )社会福祉法人青森社会福祉振興団まるめろナースステーション西多賀

2 )青森県立保健大学大学院健康科学研究科

 

抄 録

〔目的〕 簡便に測定できるレーザー距離計を用いた Functional reach test(以下,レーザー距離計法)の信頼性・妥当性を検討すること。

 

〔方法〕 健常成人67名を対象とした。レーザー距離計法は,直立位で肩関節を90°屈曲した開始肢位にて壁までの距離を測定したのち,前方に手を伸ばした終了肢位にて再度距離を測定し,前者から後者を差し引いて測定値とした。壁までの距離を 2 m,3 m,4 m とし,各 3 回ずつ測定した。基準尺度として,最初にFunctional reach test が提唱された方法に近い計測機器法,既存の方法として指示棒を用いた指示棒法を各2 回ずつ測定した。 3 方法の信頼性は級内相関係数を用いて検討した。レーザー距離計法と基準尺度との関連の強さを示す基準関連妥当性を Pearson の積率相関係数を用いて検討した。 3 方法の測定値の差は反復測定の分散分析および事後検定として Shaffer 法を用いて検討した。

 

〔結果〕 レーザー距離計法の級内相関係数は0.86であり,計測機器法の0.89に比べやや低かったが,指示棒法の0.79と比べて高かった。レーザー距離計法と計測機器法とは0.71と有意な強い正の相関があり,基準関連妥当性が高かった。レーザー距離計法は計測機器法および指示棒法に比べ有意に短かった。

 

〔結論〕 レーザー距離計法は,信頼性および妥当性が高く,姿勢の安定化に寄与する要因を排除して測定できる尺度であった。また,レーザー距離計法は場所を選ばずに測定できることから病棟や訪問業務での再現が可能であると考えられた。

 

《キーワード》Functional reach test,レーザー距離計,転倒予防,動的バランス能力