保健統計学

科目・科目群 看護学科専門科目・保健学コース
科目名 保健統計学
授業形態 講義 単位数 1単位 選択・必修 選択  
配当年次 2年次 学期 後期 合計コマ数 10コマ
コース選択 保健学コース 他学科開講科目 該当なし
科目責任者(学内連絡教員) 山田 真司 学内連絡教員 山田 真司
科目担当者 山田 真司
身につける力 創造力
学習キーワード 問題解決力,健康科学リテラシー,専門的知識

1.科目のねらい・目標

 科学では問題を仮説という形にしてその真偽をデータに基づいて確かめます。データの持つ情報を適切に取り扱うための学問が統計学です。保健学もまた科学であり特にデータとは切っても切り離せない分野です。そのため保健学や医学に特化した統計学である保健統計学という分野が形成されました。
 保健師は集団を対象としますが,保健統計学はいわば集団に対する聴診器のような役割を果たします。この授業ではこの『聴診器』の使い方を学んでいきます。「保健統計」という統計の分野がありますが,この授業では「保健」に関するデータを解析するために必要な統計学の基礎を学びます。

2.授業計画・内容・方法・準備学習等

1.授業計画・内容

以下では「👉数字」で教科書の該当ページ番号を示します。

第1回 オリエンテーション
 1.高校の数学A「場合の数と確率」,数学I「データの分析」の試験
 2.統計学の概要
  1)統計学の来歴-19世紀まで
  2)数理統計学
 3.保健師業務と統計学
 4.主要な統計量
  1)代表値(👉16)
   最頻値,中央値,算術平均,分位数,パーセンタイル
  2)ばらつきの統計量(👉19)
   範囲,四分位範囲,分散,標準偏差,変動係数
  3)関連の統計量
   共分散,相関係数(👉52),順位相関係数(👉55),連関係数

第2回,第3回 データの尺度,要約統計量,表と図の利用
 1.データの尺度
  1)4種類の尺度とその特徴(👉13)
  2)尺度の用い方
 2.主な図表の特徴
  1)単純集計,クロス集計(👉102)
  2)主要なグラフの特徴と使い方(👉33)
  3)度数分布表(👉30)
  4)ヒストグラム,箱ひげ図(👉32)
  5)散布図(👉53)

第4回,第5回 代表的な確率分布
1.確率分布とは(👉42)
2.二項分布-代表的な離散分布(👉45)
3.正規分布-代表的な連続分布(👉43)
1)正規分布の特徴
2)標準化と標準正規分布
3)標準正規分布表の読み方
4.正規分布から派生する確率分布-χ2分布、t分布、F分布(👉80)
5.期待値

第6回,第7回 推測統計学の枠組みと統計的仮説検定
 1.記述統計学と推測統計学
 2.母集団と標本
  1)無作為抽出と標本誤差
  2)母数と標本統計量
 3.統計的仮説検定の概要(👉72)
  1)統計的仮説検定の枠組み
  2)帰無仮説,対立仮説,片側検定,両側検定
  3)有意水準,棄却域,有意確率(p値),実現値,臨界値
  4)第1種の過誤,第2種の過誤,検出力

第8回 区間推定の実際
 1.比率の区間推定
 2.母平均の区間推定
  1)正規分布の場合
  2)t分布の場合

第9回 統計的仮説検定の実際-パラメトリック検定
 1.独立2標本のt検定(👉81)
 2.対応のある標本のt検定(👉83)
 3.分散分析(👉88)
  1)主効果
  2)多重比較
  3)交互作用

第10回 統計的仮説検定の実際-ノンパラメトリック検定
 1.マン・ホイットニーのU検定(👉97)
 2.ウィルコクソンの符号付順位検定(👉95)
 3.フリードマン検定
 4.分割表の検定
  1)χ2検定(👉103)
  2)フィッシャーの正確確率検定(👉105)

 統計データの解析には統計ソフトの使用は必須です。この授業ではExcelとEZRもしくはRというソフトの使用を推奨します。自学することが望ましいのですが,特に苦手な受講者のために講義と別に補講を実施します。ただし,時間割が過密なため土曜日の実施となる可能性が高いです。

2.準備学習
 高校の数学A「場合の数と確率」,数学I「データの分析」についてきちんと復習しておいてください。初回に試験を行います。

3.教科書

白戸亮吉,鈴木研太著:「ていねいな保健統計学」,羊土社,2018.ISBN 978-4-7581-0972-7

4.参考書

1)高橋信:「マンガでわかる統計学」,オーム社、2004.ISBN 978-4274065705
2)南風原朝和著:「心理統計学の基礎―統合的理解のために」,有斐閣アルマ,2002.ISBN 978-4641121607
3)東京大学教養学部統計学教室編:「統計学入門」,東京大学出版会,1991.ISBN 978-4130420655
4)神田善伸著:「フリー統計ソフトEZRで誰でも簡単統計解析」,南江堂,2014.ISBN 978-4-524-26158-1
5)J. P. Lander著:「みんなのR 第2版」,マイナビ,2018.
6) 松村優哉,他著:「RユーザのためのRStudio[実践]入門」,技術評論社,2018.ISBN 978-4774198538

 とにかく数学が苦手という人(たぶんあなたもそうです)は授業前に1)をざっと読んで,統計学の概観を掴んでおくと良いでしょう。教科書の説明の説明で納得いかない人は2)や3)が参考になります。EZRの使い方については4)が良いでしょう。EZRはざっくりと言えばRという統計ソフトを使いやすくしたものです。Rの力をフルに使いたい場合は5)が良いでしょう。ただし,Rをそのまま使っているとIDE (Integrated Development Environment)というツールが欲しくなります。そのときには,Rの代表的なIDEであるRStudioが良いでしょう。6)はその参考書です。

5.成績評価方法

毎回の復習用小テスト(初回の高校数学復習分も含む):25%,毎回のWeb入力課題:25%,定期試験50%試験。ただし,自主学習の成果(最終回の授業の2週間後提出締め切り)を定期試験の補填分として30%までを認める。

6.授業の工夫している点(授業改善アンケート結果やピアレビュー結果から検討した内容等)

 この科目は他の看護専門科目とは非常に異質で,授業を聞いているだけで理解することは困難です。予習は必須ですし,何よりも前回までの内容をきちんと理解し要点を記憶しておかなければ,授業についていくことはできません。予習復習の重要性を説くことこそがもっとも重要な工夫ではないかと考えています。

7.備考(学生へのメッセージ、購入が必要な物品等)

 「駆け足で進みます」という表現がよく使われますが授業計画を見ていただければ分かるように「全力疾走で進みます」。予習,復習は必須です。高校時代に数学が苦手だった受講者は毎回かなりの時間の予習,復習が必要となります。また,PCの操作についても予習,復習は必要です。なかなか大変な科目ですが,だらだら時間をかけるよりも一気に学んだ方が却って分かり易いものです。ただし数式やPCが苦手な学生は予習復習の時間も見込んで履修申請してください。 

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