感染免疫学

1.科目のねらい・目標

　昨2019年12月、中国武漢で原因不明の肺炎が発生した。武漢市衛生健康委員会は「27人が原因不明のウイルス性肺炎にかかり7人が重症」と発表。１月にそれが新型コロナウイルスと判明し死者が出た。WHOはそのウイルスを「COVID-19」と命名。その後感染が増加し感染者は75000人になり、その間海外でも感染者が続出し2月時点でまだ終焉していない。この事象から我々は多くのことを学ばなければならない。たとえば、病原体のウイルスの性状、感染のしかた、新興感染症、治療薬のないこのウイルスと戦う免疫力、ワクチンの開発、治療薬の開発、病原体の薬剤耐性などである。なぜこのような新しい感染症（病原体）が発生するのか？それは地球温暖化と関連していると言われている。これからも新しい病原体が出現するだろうし、既存の病原体の変異株が出るだろう。このような異常事態に対応するためには、確固たる知識を持ち高度な判断力を身につけておくことが必要となる。そのために学習するのである。

2.授業計画・内容・方法・準備学習等

１．授業計画・内容
総論：
　第 １ 回　微生物の構造、観察方法（染色）、顕微鏡の種類とそれらの特性
　第 ２ 回　微生物の増殖、増殖条件、具体的な培養方法、培地の種類
　第 ３ 回　感染と発症(発病)の差異、感染経路、日和見感染、院内感染、市中感染、新興・再興感染症、食中毒について
　第 ４ 回　予防接種とワクチンの意味、ワクチンの種類、ワクチンの主作用と副作用
　第 ５ 回　免疫とは、抗原・抗体とは、免疫関連臓器・細胞、抗体誘導機序、免疫反応を利用した診断法、アレルギー、臓器移植、自己免疫疾患など。免疫(学）はますます重要な学問となるのでしっかりと学習・習得しておく
　第 ６ 回　滅菌と消毒の差異、これらの具体的方法、スタンダードプレコーションとは
　第 ７ 回　感染症に対する化学療法と薬剤の作用機序
　第 ８ 回　微生物の遺伝と薬剤耐性の遺伝子伝播様式について　
各論：
　第 ９ 回　病原性球菌群、グラム陰性好気性桿菌、グラム陰性通性嫌気性桿菌の各種菌群
　第10回　 グラム陽性無芽胞桿菌、グラム陽性有芽胞桿菌、らせん菌、スピロヘータ、マイコプラズマの各種
　第11回　 リケッチア、クラミジア、ウイルスと細菌との差異
　第12回　 DNA系ウイルス（ポックス、ヘルペス、アデノ、パピローマウイルスなど）
　第13回　 RNA系ウイルス（ポリオ、ロタ、風疹、ノロ、インフルエンザ、コロナ、麻疹ウイルスなど）
　第14回　 出血熱ウイルス、狂犬病、HIV、肝炎ウイルス、プリオン、バクテリオファージ
　第15回　 原虫による感染症、真菌による感染症の各種

２．方法
　教科書は使用しない。その代わりにスライドに対応したプリントを用いて講義を行う。理解できないところは質問する。

３．準備学習
　スライドに対応したプリントを一括渡すので予・復習に活用する。

3.教科書

指定しない。

4.参考書

必要な参考書は図書館に準備してある。また個人での購入可能な本は適宜紹介する。

5.成績評価方法

授業への参加度（10％）、筆記試験の結果（90％）で総合的に評価する。再・追試験は行う。

6.授業の工夫している点（授業改善アンケート結果やピアレビュー結果から検討した内容等）

学生による授業評価には対応している。特に自由記載事項は参考になるので学生側からの指摘を希望する。
これまでの学生の受講態度は良好であり維持継続してほしい。

7.備考(学生へのメッセージ、購入が必要な物品等)

※この科目は、実務経験のある教員による科目である。
・グローバル化に備え英語は専門科目と同様に勉強し続ける。四年間続ければ納得がいく人生を歩める。
・医療系ニュースには特に注意しておく。
・バランスのとれた人間になるためには、大学生活で理系の学生は文系の本を読み、文学、音楽、美術などの鑑賞に時間をさく。いくら顕微鏡だけをのぞいても、なぜかそこからは「命、人間」は見えてこない。