行動と価値

健康科学部4学科共通

授業科目 行動と価値
科目概要・形式 2単位 30時間 選択 配当年次 2年 前期
科目責任者 羽入辰郎
担当者 羽入辰郎

1.科目のねらい・目標

 人は普通、自分の価値判断に基づいて行動します。ところが、そうでない場合があります。自分の価値判断で動いていると本人自身は思っているのですが、実は他人の価値判断によって操作されているという場合です。この場合、個人の人格は破壊され、極めて危険な状態にさらされることになります。なぜなら、自分自身の価値判断に基づいて行動出来る、ということが人格の基本だからです。本講義の目標は、誰でも条件さえそろえば、他人の価値判断に操作される状態に容易になり得る、ということを、社会に出る前の学生時代に理解し、そうした操作から身を守る術を身に付けることにあります。思考を操作しようとしてくる相手に対する免疫のワクチンを、社会に出る前に接種すること、諸君を騙されにくくすること、これが本講義の最終目標です。

2.授業計画・内容



(1)アイヒマン実験(第一回)

(2)代理状態(第二回)

(3)本当に代理状態になっているのか?―裏に潜む自己欺瞞(第四、第五、第六回)

(4)ブラック企業―なぜ抜け出せないのか(第八、第九回)

(5)ブラック企業の先駆形態としてのカルトーX JAPAN Toshlを例として(第十一、第十二、第十三回)

(6)結論、レポートの説明、および授業評価(第十四、第十五回)



3.教科書

特に使用しません。講義に関連した資料をその都度配布します。

4.参考書

(1)スタンレー・ミルグラム『服従の心理』山形浩訳、河出文庫、2012、ISBN 978-4-309-46369-8
   (今出版されているこの本よりも、絶版となっている旧訳の岸田秀訳の方が訳文は優れています。この旧訳が図書館に5冊入れてあります。題は同じです。)

(2)羽入辰郎『支配と服従の倫理学』ミネルヴァ書房、2009、ISBN 978-4-623-05233-2  (これも図書館に1冊入れてあります)

(3)Toshl『洗脳―地獄の12年からの生還』講談社、2014、ISBN 978-4-06-218657-5

5.成績評価方法

出席30パーセント、レポート70パーセント。

6.授業の工夫している点(授業改善アンケート結果やピアレビュー結果から検討した内容等)

 前年度、アウシュビッツのユダヤ人絶滅収容所の記録映画を見せたところ、非常に好評でした。確かに学生時代に一度は見ておいた方が良い記録フィルムではあり、社会に出てから見る機会などないと思うので、どこかで時間を作って見せたいとは思っています。ただし、講義の時間を食われるのは、正直痛いです。

7.備考(学生へのメッセージ、学生購入物品など)

 論理的思考が出来るようになり、論文を書くことが怖くなくなります。十以上のテーマが用意されており、また、講義に関係あれば、自由テーマもOKです。さらに、どうしても書けない場合のために、「書けない理由を書け」という奇妙な題も用意されています。レポートを怖がらないで下さい。必ず書けます。

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