健康情報リテラシー

1.科目のねらい・目標

健康に関する情報を適切に得て、活用できるための基礎的な知識と情報収集方法を身に付ける。
健康情報は川の流れに例えることができる。水源に湧き出すのは澄んだ夾雑物のない水である。中流、下流と下るにうちに夾雑物や有害成分が混じっていくのだが、水を汲み出す労力は下るにつれて小さくなる。用途に応じて汲み出す場所を選ぶことで、少ない労力で必要な純度の水を確保することができる。このアナロジーのもとで授業を構成していく。

2.授業計画・内容・方法・準備学習等

１．授業計画・内容
健康情報は川の流れに例えることができる。水源に湧き出すのは澄んだ夾雑物のない水である。中流、下流と下るにうちに夾雑物や有害成分が混じっていくのだが、水を汲み出す労力は下るにつれて小さくなる。用途に応じて汲み出す場所を選ぶことで、少ない労力で必要な純度の水を確保することができる。このアナロジーのもとで授業を構成していく。
第１回 健康情報リテラシーとは－この川はどんな川なのか （山田）
健康情報の特徴、健康情報リテラシーの必要性、健康情報の精度と情報を得るコスト
第２回，第３回 学術論文－水源の近く （反町）
査読を経て公開された学術論文はもっとも吟味された情報である。目的にあった論文を探し出すための検索法、そしてこれを素早く正確に読み解くための「批判的吟味」の方法を学ぶ。併せて、疫学研究における因果とは何か、「統計的有意」が何を意味するかを学ぶ。
第４回 インターネット上の質の高い医療情報－流れの中流域 （反町）
学術論文から直接情報を収集するには多くの労力が必要である。インターネット上にこれらの情報を適切にまとめた質の高い情報源が存在する。これらの情報源の特徴と使い方を紹介する。
第５回 インターネット上に散在する不確かな情報－流れの下流域 （山田）
インターネット上に溢れている大多数の情報は元々の情報を歪めて使用したり、根拠ない主張であったりする。これらの不適切な情報を把握することもまた保健医療職に携わる者としては必要であろう。そのために情報源の身元を知るために必須となるドメイン名を理解する。さらにこれらの情報源から適切な情報をすくいだすための各種検索方法を学ぶ。
第６回 健康情報を適切に提供する－水の供給 （山田）
適切な情報を取得するだけでなくそれを適切に伝えることも保健医療職としては必要である。そのための礎となるコミュニケーション・モデルと認知バイアスについて学ぶ。
第７回 健康状態を把握・評価する指標－上流、中流での治水対策 （熊谷）
健康状態を評価する指標は、様々ある。その指標の調査方法や言葉の意味を正しく理解し、どのような健康問題の予防対策に役立てられているのかを学ぶ。
第８回 地域の健康問題を把握する－それぞれの川の種類 （熊谷）
地域の健康問題を知るためには、国、県、市町村が公表している情報を取得し理解する必要がある。それぞれの地域が抱える健康課題を把握しながら、マスメディアで発信されている情報が適切か否かを検証する。

２．方法
回ごとに担当者を変えながら、講義形式で進める。

３．準備学習
健康情報はさまざまなメディアで日夜報じられている。これらの情報に根拠が示されているのか、根拠は果たして妥当なのかを考える訓練を積んでおくこと。

3.教科書

適時資料を配布する。

4.参考書

中山健夫著：「健康・医療の情報を読み解く 第2版 健康情報学への招待」、丸善出版、2014、ISBN 978-4621087329

5.成績評価方法

授業への参加状況(30%)、提出課題(30%)、試験(40％)の割合で評価する。

6.授業の工夫している点（授業改善アンケート結果やピアレビュー結果から検討した内容等）

2018年は新規開講のため非該当

7.備考(学生へのメッセージ、購入が必要な物品等)

日本人のヘルスリテラシーは欧米に比べて低いと言われています。皆さんの多くは専門職として、ヘルスリテラシーを身に付けるだけでなく、人々のヘルスリテラシーを引き上げなければなりません。健康情報リテラシーはヘルスリテラシーの中核となるものです。健康情報リテラシーの方法論をこの科目で身に付けましょう。