3つのポリシー
理学療法学科ディプロマ・ポリシー
令和7年4月1日改正
青森県立保健大学健康科学部は、看護学科、理学療法学科、社会福祉学科及び栄養学科という4つの学科に加え、健康科学総合教育部門を有します。それぞれの分野で人々の健康の保持・増進をはかるための学問を教授し、そこで得た知識や技術を実践できる能力を身につけた学生に、看護学、理学療法学、社会福祉学又は栄養学の学位(学士)を付与します。
本学の目標は、ヒューマンケアを通して、人々の健康的な生活に寄与することであり、本学の理念は、学部における学問の探求や実践を通し、健康な地域社会を創造することです。この理念を達成するために、本学学生が卒業時点で身につけておくべき能力を5つ挙げました。この5つの力を育成するために構築したカリキュラムのもとで学び、所定の単位を取得した者について、本学では卒業を認定します。
1.自らを高める力
―表現力及び主体的学習力を基礎とした自己の形成を促すための力―
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自らの考えや気持ちを適切に表現し、相手に伝えることができる。
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自律して学習を組み立て、適切に探求でき、これを自己の成長につなげることができる能力を有する。
- ヒューマンケアを実践する人材として、自己を形成していくための基盤を有する。
2.現代社会を理解する力
―社会に関心を持ち、地域社会に積極的に参加して多様性を理解し、課題解決に努める力―
- 社会に目を向け、課題を見出し、改善に取り組むことができる。
- ボランティア活動などの実践を通して、地域の現状や課題への理解を深めることができる。
- グローバルな視野を持ち、異なる文化、多様な価値観やバックグラウンドを尊重し、多様性への理解を有する。
3.専門的知識に根差した実践力
―高度な専門的知識と技術・態度を獲得し、これを踏まえて実践できる力―
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個人とその生活環境に配慮するため、こころとからだの健康状態、心身機能、活動性、社会参加の状況を多側面から把握し、地域や対象者のニーズに応えることができるための専門的知識を有する。
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対人関係形成のためのコミュニケーション能力を有し、理学療法の専門家としてケアを実践できる能力を持つ。
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生命に対する深い畏敬の念と倫理観を持ち、理学療法の理念を基盤として、対象者に親身に寄り添い、専門性を科学的根拠として行動できる。
4.創造力
―獲得した知識や技術を発展的に活用できる能力―
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理学療法の専門性を科学的根拠として、収集した情報を統合して解釈する臨床判断能力を持ち、問題解決を図り、自ら立案した方針に基づいた実践ができる。
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幅広い文化・教養に関心を持ち、論理的思考力、判断力、人間性に裏打ちされた創造力を有し、社会情勢の変化を背景に職域拡大が進む理学療法の新たな展開に寄与できる。
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健康科学に有益な新たな理学療法について情報発信できるとともに、キャリア意識を身につけ自己の成長を追求することができる。
5.統合的実践力
―繋がりあうことでより大きな力を発揮できる実践力―
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保健・医療・福祉領域の多職種や多機関が連携・協調するために必要なコミュニケ―ション能力を持つ。
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多職種からなる組織の一員としてメンバーシップを発揮し、必要時にはリーダーシップを発揮する。
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健康的な地域の創造に向け、対象とする事象や人々を意識したチームアプローチができる実践力を持つ。
理学療法学科カリキュラム・ポリシー
令和7年4月1日改正
本学のカリキュラムは、「総合教育科目」、「専門科目」、「学科横断科目」で構成され、これらをもってディプロマ・ポリシーに掲げた5つの力(「自らを高める力」、「現代社会を理解する力」、「専門的知識に根差した実践力」、「創造力」、「統合的実践力」)を育成します。
〇「総合教育科目」には、5つの科目群を置き、主に「自らを高める力」と「現代社会を理解する力」を育成し、専門科目で学ぶ基盤を作ります。
〇「専門科目」は修得の順序性を考慮し、「専門支持科目群」、「基幹科目群」、「展開科目群」から構成されています。「専門支持科目群」と「基幹科目群」では主に「専門的知識に根差した実践力」を、「展開科目群」では主に「創造力」を育成します。
〇「学科横断科目」は「学際科目」と「ヘルスリテラシー科目」の2つから構成されています。「学際科目」は現代社会において注目されている重点課題について、学部合同で学生と教員が共にディスカッションします。「ヘルスリテラシー科目」はこれからの保健、医療及び福祉を担う人材に共通して必要な能力を育成する科目であり、「創造力」及び「統合的実践力」を育成します。
〇各科目の学修成果は、講義科目については定期試験、レポート、授業中の小テスト、及び発表等で評価し、演習、実習、実験科目についてはその目的にそって、実習・実験状況、実技テスト及び提出物等で評価します。評価方法の詳細については、各科目のシラバス内において、授業内容の詳細とあわせて記載します。
1.自らを高める力
―表現力及び主体的学習力を基礎とした自己の形成を促すための力―
表現力を身につけるための教育
「総合教育科目」の「学びの基盤」の中には英語教育が含まれます。ここでは英語のネイティブスピーカーによる少人数授業を行い、英語によるコミュニケーションの基礎を作ります。その他にも文化的内容の講義やグループワークを用いた授業方法などにより、根拠を持って自身の意見を相手に伝えることができる力を養います。
主体的学習力を身につけるための教育
生涯にわたって活用できる自己学習力を育成するために、「総合教育科目」で基礎的なラーニングスキルを習得させます。これを活用することで、さらに専門科目を学ぶ際に自ら学習をし続けることのできる力と態度を育みます。
自己の形成を促すための教育
ヒューマンケアを実践できる人材として自己の形成を促すために、「総合教育科目」として「学びの基盤」、「自己の形成」、「科学の理解」、「現代社会の理解」、「多様性の理解」という5つの科目群を置き、自ら選択して学ぶことで、自身を含めた人間やその生活への理解を深め、自己の形成を促進するための基盤を作ります。
2.現代社会を理解する力
―社会に関心を持ち、地域社会に積極的に参加して多様性を理解し、課題解決に努める力―
現代社会を理解する力を身につけるための教育
「現代社会の理解」の講義を通して、社会に関心を持ち、社会を理解するための基盤を作ります。これに加え、ボランティア活動などの実践を通して、地域の現状や課題への理解を深めたうえで、「学際科目」の講義に参加することにより、現代社会における課題の改善に取り組むことができる力を育みます。
多様性を理解する力を身につけるための教育
「多様性の理解」の講義、ボランティア活動などの実践、グローバルヘルスプログラムなどの国際的な連携プログラムへの参加を通して、グローバルな視点を持ち、多様性を理解する力と態度を育みます。
2.専門的知識に根差した実践力
―高度な専門的知識と技術、倫理的態度を獲得し、これを踏まえて実践できる力―
学習の順序性
理学療法の多様なニーズに応えるために、新たな展開として、基礎および臨床理学療法の専門分化する知識と技術を習得するための順序性のある系統的な講義・実習・演習を教授します。
アクティブラーニングを主体とした教育方法
理学療法の知識と技術を身につけさせるために、アクティブラーニング(少人数での演習、模擬患者、シミュレーション教育、臨床実習等)を主体とした教育方法をとります。
専門的知識・実践力を身につけるための教育
実践力を身につけるため、障害の種類やレベル、成長・発達・加齢、地域等の実践の場に即した理学療法の実践を可能とするための講義及び実習科目を配置します。
対象者へのラポールとオリエンテーション(人間関係形成能力)及び、情報収集、観察、検査・測定、記録、統合と解釈(情報活用能力)並びに、問題点抽出・目標設定(将来設計能力)、治療計画立案(意思決定能力)及び、対象者の状態に応じた治療方針の修正(課題対応能力)をする力を育成します。さらに、教育成果としての臨床実習教育の目標到達度を、人材養成教育の総合的な評価尺度として効果判定します。
倫理観を身につけるための教育
知識・技術のみならず、コミュニケーション能力および人間関係形成能力に基づいた倫理観の育成を重視し、効果的な臨床実習とするために実習施設と大学との関係を強化し、連携して教授します。
キャリア教育及びキャリア形成支援
学内学習での基礎的能力と学外学習での汎用的能力の両面から、社会情勢の変化に柔軟に対応できる計画実行能力と課題対応能力を身につけた人材育成を目途とするキャリア教育を行います。
4.創造力
―獲得した知識や技術を発展的に活用できる能力―
問題解決能力を高める教育
修得した基本的知識・技術を、臨床の場で対象者の状況に適合させる応用的展開能力を養います。
クリティカルシンキングを高めるための教育
臨床経験と科学的根拠に基づいた理学療法の確立を担う人材養成のために、研究計画の立案と遂行、論文執筆、プレゼンテーションの一連の研究過程について、展開科目を契機として教授し、論理的批判的思考力及び科学リテラシーを育成します。
健康科学リテラシーを身につけるための教育
健康科学リテラシーを身につけるために、「学科横断科目」に「ヘルスリテラシー科目群」を置き、段階的な教育を行います。専門科目では、講義・演習を通して、理学療法に関わるヘルスリテラシーを教授し、住民のヘルスリテラシー向上に活用できる能力を育みます。
5.統合的実践力
―繋がりあうことでより大きな力を発揮できる実践力―
地域課題(ヘルスリテラシー向上)を核とした実践力の育成
「学科横断科目」の「ヘルスリテラシー科目群」において、自らのヘルスリテラシーを応用し、住民のヘルスリテラシーを向上させるための方策について探求します。1年生から4年生まで専門科目の習得レベルに応じた科目を配し、1年次、4年次には地域に赴き、地域とそこに暮らす人々の現実の健康上の課題から援助方法を探求します。
多職種と協働できる実践力を育成するための教育
「ヘルスリテラシー科目群」では、学科混成グループで学びあう場を提供します。各々の専門分野を知り、関心や視野を広げるとともに、対象を中心として多職種が協働してケアを実現することができる実践能力を育成します。学びの過程を通し、表現力、リーダーシップ、メンバーシップを育成します。
理学療法学科アドミッション・ポリシー
理学療法学は、障害などによって体の動きが低下して日常生活に支障が出ている人や、その恐れがある人が自立した日常生活が送れるように、運動療法などによって基本的な動作能力の回復や維持を支援する専門領域です。したがって、障害を有する人たちに対する理解と共感、科学的探究心、責任感および主体的な問題解決能力が求められます。また、保健、医療及び福祉のシステムの中で、他の専門職の関係者と連携・協働して作業することも求められます。
このため、次のような資質を有する学生を求めます。
(知識・技能)
1 特定の教科に偏らず、高等学校(中等教育学校を含む。)で学ぶ各教科の基礎的内容を十分に理解している。
2 理学療法学を学ぶために基礎となる科目、特に物理や生物、化学を理解している。
(思考力・判断力・表現力等の能力)
1 理学療法の科学的探究の基盤となる、論理性を有する。
2 自らの発言や行動に責任をもち、周囲の人に自分の考えを的確に伝えることができる。
(主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)
1 向上心を持って自己研鑽に努め、自ら課題を発見してその解決に向けて努力することができる。
2 人々の多様な立場や考えを理解したうえで良好な人間関係を構築し、周囲と協働して作業ができる。
(意欲、専門分野への興味・関心)
1 医学や医療に対する関心度が高く、特に理学療法分野で目的意識と情熱を持って地域社会に貢献する意欲がある。